2009年01月20日

tabi0050 中島義道「「哲学実技」のすすめ」

いや、幸福を真実と同じレベルで考えてはならない。いますぐに説明するよ。真実をいつでも貫き通すことはたいへん難しいのだ。だが、だからといって簡単に「しかたがない」と呟いていい問題ではない。このことをカントほど考え抜いた哲学者をぼくは知らない。ぼくは、三〇年以上カントを読んできたが、やっと最近ここに潜む恐ろしく深い根が見えるようになったよ。カントは殺人鬼に追われた友人を匿い、追手から「どこにいるんだ?」と聞かれたときでさえ、嘘を言うべきではないと断言している。友人を場合によっては殺しても嘘をついてはならないと確信している。友情よりも真理が断固優先すべきであることを確信している。この非常識なカントの見解は、予想通りたいへんに評判の悪いものであり、さまざまな人が「融和策」を出そうとした。しかし、ごく最近のことだが、ぼくはカントのこの嘘に関する議論は文字通り受け取っていいのではないかと思い始めた。P141
中島義道「「哲学実技」のすすめ」(角川書店 2000)


中島は「哲学者」マーケットでポジショニングをとれている数少ない人である(思想家にスライドしてきているが)。先日取り上げた「日本語が亡びるとき」に出てきた叡智探究者という概念。この概念を4つに分類してみた。

tabi0050.jpg

叡智探究者には、4つの自己が常に内在していると考えている。それは、哲学者、思想家、宗教者、啓発者である。あなたの中に内在する「哲学者」という自己を認識するうえで、本書は優れている。

■ 参考リンク
[Review]: 「哲学実技」のすすめ
Don't be evil. 邪悪になるな。
最後がおちゃらけにしてあるが…これはとてもよい本だったと思う…



■ tabi後記
正統性を与える概念として「権威→マネジメント→?」の「?」を埋める言葉を探していた。岡田×神田のCDを聞く中で、「ゲームマスター(シナリオライター)」が暫定では良いばと思えてきた。ハメルの議論を発展させる形でまとめていく。
posted by アントレ at 19:22| Comment(0) | tabi☆☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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