2009年05月05日

tabi0130 ミチオ・カク「サイエンス・インポシッブル」

文明が次の段階の文明へ移行するという保証はまったくない。最も危険を伴うのは、タイプ0からタイプIへの移行とも考えられる。タイプ0文明は、文明の発展段階でありがちな派閥主義と原理主義と民族主義にいまだに悩まされており、こうした民族感情や宗教感情のせいで移行は失敗に終わりかねない。銀河系でタイプI文明が見つかっていないひとつの理由は、この移行が起きずに文明が自滅してしまったからなのかもしれない。いつか、われわれがほかの恒星系を訪ねたときに、大気が放射線で汚染されたり、生命を維持できないほど高温になったりして自滅した文明の廃墟を見つけることになるのだろうか。文明がタイプIIIの状態に達したころには、銀河内を自由に飛びまわり、地球に到達することさえできるエネルギーやノウハウを手にしている。P208
ミチオ・カク「サイエンス・インポシッブル」(NHK 2008)


今日の物理学者には、陽子の中身から膨張宇宙に至るまで、四三桁ものスケールで物事を考えている。微小/極大思考を併せ持つ彼らにとって、未来のテクノロジーがおおまかにどんなものになるかについて、そこそこ自信をもって語れ、ただ単にありそうにないテクノロジーと、本当に不可能なテクノロジーとを、きちんと区別できるんじゃないの?と思って本書を読みすすめたが、やはり期待どうりであった。

本書では、「不可能」なことを三つのカテゴリーに分けている。

第一のカテゴリーを、「不可能レベル1」とする。これは、現時点では不可能だが、既知の物理法則には反していないテクノロジーである。だから今世紀中に可能になるか、あるいは来世紀にいくらか形を変えて可能になるかもしれない。テレポーテーション、反物質エンジン、ある種のテレパシー、念力、不可視化などがこれにあたる。

第二のカテゴリーは、「不可能レベル2」とする。これは、物理的世界に対するわれわれの理解の辺縁にかろうじて位置するようなテクノロジーだ。かりに可能だとしても、実現するのは数千年から数百万年も先のことかもしれない。タイムマシン、超空間飛行の可能性[超空間とは3時元を越える高次元のこと]ワームホールを通過する旅などがこれになる。

最後のカテゴリーは・「不可能レベル3」だ。これは、既知の物理法則に反するテクノロジーにあたる。意外にも・この種の不可能なテクノロジーはきわめて少ない。もしもこれが本当に可能になったら・物理学に対するわれわれの理解が根本的に変わることになる。

彼も書いていることだが、このような分類は非常に重要だと思う。SFに登場する多くのテクノロジーは、まつたく不可能なものとして科学者に切り捨てられているが、実のところ、「「われわれのような文明」にとって不可能である」いう意味なのだ。

惑星一個のエネルギーを使う、タイプ1文明
恒星一個のエネルギーを使う、タイプ2文明
銀河系規模のエネルギーを利用するのが、タイプ3文明

同時に、不可能レベルが上がるにつれて、文明タイプが変容していくという指摘が興味深い。今のわれわれは「タイプ0文明」であって、タイプ1に移行するには数世紀かかると。

■参考リンク
951旅 ミチオ・カク『サイエンス・インポッシブル』
不可能とは、可能性だ「サイエンス・インポッシブル」



■tabi後記
啓蒙主義的な進歩史観に辟易する方もいると思うが、辟易するだけでは、あなたが思い描く方向にも、描かない方向にも進化はしていかない。
posted by アントレ at 11:14| Comment(0) | tabi☆☆☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。