2009年05月20日

tabi0168 西垣通「基礎情報学」

いまいちどポイントを整理しておこう。第一に、情報の「意味」は、一般には解釈者によって異なる。したがって、解釈者/受信者を等閑視して情報を議論することはできないが、解釈者/受信者は常に「生物」である。第二に、生物はオートポイエティック・システムであり、刺激ないし環境変化に応じ、あくまで自分自身の構成にもとづいて自らを内部変容を続ける。その変容作用こそが意味作用である。したがって情報に関するこういった「自己言及=自己回帰」的な性質を明示しなくてはならない。第三に、意味作用する喚起する「刺激」や、それによって生じる「変容」の本質は、物質でもエネルギーでもない。それは「形」であり、「パターン」である。これら三点から、次のような情報の定義がみちびかれる。情報とは、「それによって生物がパターンをつくりだすパターン」である。P27
西垣通「基礎情報学」(NHK出版 2004)


オートポイエーシスを起点にしながら、情報(機械情報/社会情報/生命情報)について考察をすすめる。情報はあくまで非物質的存在であり、実体概念ではなく関係概念である。例えば、爪の細胞自体は常に入れ替わっているが、我々はそれを同じ「爪」として認知している。これは情報が一種の「パターン=形相」であることを示唆している。そしてあらゆる情報は、基本的に生命体による認知や観察と結び付いた「生命情報」である。引用文にある情報の定義は、情報という「作用」ではなく、情報の「担体」に他ならない。前者の定義を与えるのは本書全体に任せたい。

久しぶりにオートポイエーシスというシステム概念にふれたが、これは興味深い理論である。観察者と行為者を分離することにより入出力の不在を発見し、システムに自己閉鎖系を付与するという発想。たんなる自己認識ではなくて自己制作だとするならば、オートポイエティック・マシンには「入力も出力もない」という条件にするのではなく、「出力がそのまま入力になる」と表現するのがいいのではと感じる。

本書や参考リンクに触れることで、構造と構成の関係、構造的カップリング、アルトポイエーシス/オートポイエーシスという概念を連環的に理解することができた。読自を言い換えるなら「オートポイエティク・リーディング」がいいかもしれない。

私たちは、読書過程(ここでは「本」という狭義の読みに焦点をあてている)にて世界の解釈フレームが変わるとき「稲妻が落ちてくるようにビビっときた」「レンガで殴らるようにガツンときた」と感じていると思う(比喩を実経験している人はいないのに。笑)。人はこの瞬間に「線をひく」「ポストイットを貼る」「3色ボールペンでマークする」「PCに抜き出す」etcといった表現をしているが、私にはこの表現が公共的に無視されていると感じる。線を引く行為(傍線でも波線でも構わない!)は、書籍情報に反応した無味乾燥な行為ではなく、オートポイエティックな営みと捉えたい。そこには、構造的カップリングされた情報が存在していると思うのです。

アーティスト(色々な意味を込めて)という生き物は、ある情報(作品)から世界の解釈フレームの変更をせまられる感動を得たときには、感動による稲妻を帯電し、レンガによる衝撃を反発にし、自分自身の創作を始めていくと思うが、私は、人が本に線を引くという表現にアーティストへの灯火をみる。そして、その解釈表現(それは読み手/書き手を越境して)を表象できるウェブサービス/ソフトウェアをつくりたいなと考えるのである。

■参考リンク
第千六十三夜【1063】
ムサ美オートポイエーシス論
永井俊哉ドットコム
情報考学 Passion For The Future こころの情報学



■tabi後記
皆さんのコメント/アドバイス(entrepreneur1986@gmail.com)待ってます。
posted by アントレ at 20:52| Comment(4) | tabi☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
西垣先生が「この本を読んで本当に理解してる奴はほとんどいない」と仰っていました(笑)一度授業に遊びに来たら。
Posted by 安斎 at 2009年05月20日 22:59
はは。僕もその1人になるでしょう。笑
日程などが分かれば遊びにいくのですが、、。
あ、西垣さんに連絡をとってみればいいんですね。
Posted by 内田洋平 at 2009年05月20日 23:13
僕のカレンダー見たらわかるよ。火曜の午後です。
Posted by 安斎 at 2009年05月20日 23:24
息子さんだったのね。名字だけだと父か息子かわからない。笑

情報ありがとう!
Posted by 内田洋平 at 2009年05月20日 23:42
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