2009年05月23日

tabi0172 米山優「自分で考える本 情報から創造へ」

通常のハイパーテクスト論ではテクスト間のリンク構造ばかりに目がいっていることが問題なのです。それに加えて、リンクをつけつつ輝きを増していく関係項・ノードこそ主題化しなければならないのです。その一つの関係項・ノードとして位置づきうるものこそが、実は読者だと考えてみましょう。関係項・ノードが輝きを増していくというのは、読書で言えば対象である書物に受肉している思想を、読者の現に今の営みの中に言わば再現することでしょうし、しかも、その際、再現しつつも読者の主観が入り込むことによって、かえって読者そのものの思想を形成することでしょう。P133-134
米山優「自分で考える本」(NTT出版 2009)


GTDとテクスト論と情報論を絡めた異色な書籍です。「一体私は何をやろうとしていたんだっけ?」という問いを持たずに、ストレスフリーな知的生産を行うための仕事/読書術を書かれています。

米山氏が採用するGTDは「片づける必要のあるものはすべて明確にし、それらを、論理的で信頼のおける「システム」の中におさめすっきりとさせること」を目標につくられた仕事術です。

デビット・アレンが定義する"物"というのは「あなたがそれに対する次のステップを決めないままに、あなたの精神的、現実的な世界の中に、あなたが放置しているもの」であり、アレンは、人の意識はRAMにあてるのではなく、それを空っぽにしてディスプレイ(表現/表示)に集中させてほしいという考えがあるようです。

1952年生まれの米山氏がGTDを実践されていることもさることながら、知的生産ツールへの好奇心には驚かされた。

情報カード,Hybercardにはじまった知的生産術が、iGTD,Filemaker Pro,ドラゴンスピーチ,インスピレーション,VoodooPad,PersonalBranといったツールを巧みに使用されるまでになるのだから。

彼が知的生産にこだわる理由は「自分で考える本 情報から創造へ」というタイトルに凝縮されている。情報が存在する場所に到達するための仕組みを考えずに自分の記憶だけを頼りにしていると「当該の本を探す手間によるストレス」「その本の何ページにあるのかを探す手間によるストレス」「書いてある情報を移動させる手間によるストレス」の3ストレスにさらされてしまう。彼はそのストレスを何としても回避しようとし、"物"に左右されることによって発生する「読書そのもののストレス」も減らそうとGTDをはじめたのだろう。

■参考リンク
第六百七十一夜【0671】
哲学・美学・情報学とイタリアのページ



■tabi後記
他者の眼の意義を改めて知る。
posted by アントレ at 18:35| Comment(0) | tabi☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。