2009年06月24日

tabi0196 クリステンセン/レイナー「イノベーションへの解」

製品がどのような用事をするために雇われているかを理解できれば、そしてうまく片づけられずにいる用事にはどんなものがあるかを知ることができれば、イノベーターは顧客の目から見た真の競争相手を打ち負かすために、製品を用事のあらゆる側面において改良するための、明快なロードマップを手に入れられる。P97
クリステンセン/レイナー「イノベーションへの解」(翔泳社 2003)


「イノベーションのジレンマ」は破壊的な技術革新を受けて優位を脅かされる側の企業に視点を置いていたが、「イノベーションへの解」ではその技術革新で新事業を構築し、優位企業を打ち負かそうとする側に置いている。

この「破壊される側ではなく破壊する!側となって」という立場が本書の特色である。

本書にも書かれているが、抜け目の無い投資家は、企業の既存事業の期待収益率を株価に織り込むだけでは飽き足らず、経営陣がまだ立ち上げてもいない新規事業から将来生み出すであろう成長まで織り込んでしまう。

本書で書かれているのは、この飽くなき成長をドライブさせる「投資家」から逃れる為の成長ではない。実際のところは、本書から「成長(イノベーション)」に対する根本思想は読み取ることはできないが、クリステンセンが教育、医療といった領域で破壊的イノベーションの可能性を思索している事から推察してみるといい。

さて、本書で扱っているトピックは広範である。

どうすれば最強の競合企業を打ち負かせるのか、どのような製品を開発すべきか、もっとも発展性のある基盤となるのはどのような初期顧客か、製品の設計、生産、販売、流通のなかでどれを社内で行い、どれを外部に任せるべきか…というような、きわめて具体的な意思決定の「解」が提出されている。

また、議論の進め方にも関心がもてた。「適切な分類を行うことが、取り組みに予測可能生をもたらすための鍵となることを説明する」という考えをベースに敷きながら、理論が予測できなかったであろう例外や特殊事例を発見しようと真剣に努力している。そうすることによって理論を大きく向上させようとしているのだ。

クリステンセンから破壊的プレイヤーへに送られた問い

新市場型破壊
・これまで金や道具、スキルがないという理由で、これをまったく行わずにいたか、料金を支払って高い技能を持つ専門家にやってもらわなければならなかった人が大勢いるか?

・顧客はこの製品やサービスを利用するために、不便な場所にあるセンターに行かなければならないか?

ローエンド型破壊

・市場のローエンドには、価格が低ければ、性能面で劣る(が十分良い)製品でも喜んで購入する顧客がいるか?

・こうしたローエンドの「過保護にされた」顧客を勝ち取るために必要な低価格でも、魅力的な利益を得られるようなビジネスモデルを構築することができるか?

・このイノベーションは、業界の大手企業すべてにとって破壊的だろうか?

もし一社もしくは複数の大手プレイヤーにとって持続的イノベーションである可能性があれば、その企業の勝算が高く、新規参入者の見込みはほとんどない。


■参考リンク
「場面」 経営戦略コンサルの洞窟
戦略的コスト構造を武器に
UBブックレビュー



■tabi後記
本文もさることながら、注も面白い。彼らの賢さやユーモアが非常にあらわれている1例を紹介しよう。

われわれの知り合いはおそらく気付いているだろうが、ファショナブルなブランド服に身を固めることは、われわれがこれまでの人生で片づけようとしてきた用事ではない。したがって最新ファッションにはまったく何の洞察も持っていないことをここで告白する。おそらく永久に収益性が高いままだろう。われわれに分かるものか。P206
posted by アントレ at 15:34| Comment(0) | tabi☆☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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