2009年08月13日

tabi0239 ロジェ・カイヨワ「遊びと人間」

自由の極北としての遊び
カイヨワは、1競争と2運の組み合わせと3模擬と4目眩の組み合わせのみを根源的、あるいは本質的とし、しかも3と4の組み合わせから1と2の組み合わせに移行するところに、近代社会への決定的な道程を読み取っているのである。彼はじつに慎重な表現をえらびながらも、目眩の支配する混沌の領域(3,4)から、競争の支配する計算の領域(1,2)への社会と文化の移行を、人類の歩みとして当然、かつ支持しうるものとしている。P355
ロジェ・カイヨワ「遊びと人間」(講談社 1973)


本書の訳者解説には、ホイジンガ,カイヨワ,訳者(多田道太郎)の思考が結晶化されている。カイヨワは2つの「遊」をみたのではないだろうか。

1つは、目眩の支配する混沌の領域(聖)から、競争の支配する計算の領域(俗)への移行に「遊」であり、もう1つは競争の支配する計算の領域(俗)から、目眩の支配する混沌の領域(聖)への移行(逆行くにみた「遊」である。

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カイヨワは、目眩の支配する混沌の領域が「聖なるもの」であり、競争の支配する計算の領域が「俗なるもの」でする。そして、それを往還するのが「遊び」であるとするのだ。混沌から計算へというのは、ミクロコスモスからマクロコスモスの統合過程に似ている。

ホイジンガは、客観科学主義時代への移行に伴って喪失してしまった「聖なるもの」を「遊び」の中に残存していることを突き止めたのだ。そして、カイヨワは、ホイジンガの視点を正当に引き継ぎながらも、その概念を発展させていく。

計算と混沌という軸だけでなく、意志と脱意志の往還があることを突き止めたのだ。この4方向の移動に自由論(遊び)を絡めて壮大に論じていく。

一般的に見方では、聖と遊は、生活を軸として対照的な位置を占めている。遊びは、当然生活を恐れる。生活は、一撃にして遊びを打ち砕き、消滅させるからである。反対に、生活は聖なるものの持つ至高の力に対して不安なまま依存している。

聖なるものからの「脱却」として俗があり、俗生活からの「脱却」として遊びがある。そのように考えられている。そして自由とは、歴史的にみて、何からの束縛からの自由であった。聖から俗へ、俗から遊へ。このようなヒエラルキー構造をカイヨワは指摘しながらも「遊」という概念のもつ「浮遊性」にも注目した。その浮遊性というのは、最初に指摘した往還としての「遊」であろう。

遊びの定義と分類
1.自由な活動
すなわち、遊戯者が強制されないこと。もし強制されれば、遊びはたちまち魅力的な愉快な楽しみという性質を失ってしまう。
2.隔離された活動
すなわち、あらかじめ決められた明確な空間と時間の範囲内に制限されていること。
3.未確定の活動
すなわち、ゲーム展開が決定されていたり、先に結果が分かっていたりしてはならない。創意の必要があるのだから、ある種の自由がかならず遊戯者の側に残されていなくてはならない。
4.非生産的活動
すなわち、財産も富も、いかなる種類の新要素も作り出さないこと。遊戯者間での所有権の移動をのぞいて、勝負開始時と同じ状態に帰着する。
5.規則(ルール)を持った活動
すなわち、約束事に従う活動。この約束ごとは通常法規をを停止し、一時的に新しい法を確立する。そしてこの法だけが適用する。
6.虚構の活動
すなわち、日常生活対比した場合、二次的な現実、または明白に非現実であるという特殊な意識を伴っていること。P39
ロジェ・カイヨワ「遊びと人間」(講談社 1973)


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■参考リンク
第八百九十九夜【0899】
第七百七十二夜【0772】
アクスラインの遊戯療法の8つの基本原則とロジェ・カイヨワの『遊びと人間』に見る“遊び”の本質
情報考学 Passion For The Future



■tabi後記
【遊楽せし魂を】 内田洋平

真に美を見出すは、退屈也

善に美を見出すは、窮屈也

美に美を見出すは、偏屈也

真善美

この3対関係を考察せすもの、いづこにもおる

いづこの中で光るには

真善美より遊離すること


遊離するとはいかなるか

つまりは疑悪醜を察し

行いしめること


ひねりのさきに真善美をあらわし

そこで落ちつく

振り切るのは控えること

ひねりの構造にすら

飽きをもてめてしまう

その心的性向がある

それを弁えること


弁えるとはいかなるか

弁えの連続性のなかに佇むことである

遊楽せし魂を習熟すること
posted by アントレ at 08:03| Comment(0) | tabi☆☆☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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