2009年08月31日

tabi0275 中西昭一 編「ワークショップ 偶然をデザインする技術」

ワークショップは創造と解体。0から1を生み出し、1を0へ戻していく。
どんなに自らが提供する商品やサービス、ブランドが所与のものであっても、それらを中立的な存在として徹底して位置づけ、ここから開発対象となる商品やサービス、ブランドのコンセプト、デザイン、コミュニケーションなどにアプローチする。「つくって、さらして、振り返る」というアクティビティを繰り返しながら、参加者は自らの「まなざしの革新」を通して、徹底してコンセプト、デザイン、コミュニケーション等の可能性に近づこうと努力する。このようなアクティビティを繰り返した結果、クライアント側・受注者側を含めた参加者全員が「学ぶ側」に位置するようになる。これが良いワークショップである。P31
中西昭一 編「ワークショップ 偶然をデザインする技術」(宣伝会議 2006)


一般的に、ワークショップの役割は4つに分類されてきた。(参考:中野民夫「ワークショップ」

・自己啓発系
・身体解放系・身体表現系
・社会的合意形成型
・創造力開発系

この本で扱うのは4つ目の「創造力開発系」のワークショップ。私がこの本を手にとった理由は、ブレインストーミングとワークショップの類似性、差異、その組み合わせを考えたかったからです。

この本から得られた仮説としては、ブレストは「コラボレーションのプラクティスではない」ということ。それは、個々の貢献と場の貢献と違いとも言えるかもしれません。何人か集まってのブレストは「プロトタイプをつくるためのプラクティス」ではあっても「コラボレーションのプラクティス」ではないのかもしれないということ。

本書では「中立変異の蓄積」「拘束状況の緩和」を進化のダイナミズムの源泉と位置づける「木村学説」の隠喩が用いてワークショップが説明されています。

すでに価値の決まっている「1」をどのように「10」にしていくかを考えるのではなく、中立的な「0」の蓄積から、参加者がワークの体験を共有していくプロセスで「1」を発見していく。

もしくは、同じワークの共有を通じて、すでに価値があるとされる「1」をもう一度見つめなおすことで解体しながら、それを再度中立的な「0」に戻し、それから再創造のプロセスにのせていく。こうした「解体と創造」の場がこの本で論じられるワークショップ。

ワークショップは、「ワークショップ的」という形容詞に身を潜める事で、あらゆる場所に侵入しています。(本書でも「ワークショップ・バブル」と書かれていたが)この本にも「ワークショップ的」な事例が多数紹介されている。その中で私が面白いと思ったのは「ピクニカビリティ」という言葉でした。

以下に引用してみます。

「ピクニック」というコンセプトには、強力な「イデオロギーの漂白力」があるのだ。東京ピクニッククラブでは、そのことを「ピクニカビリティ」という造語で呼んでいる。これは基本的にはピクニックしやすい都市やピクニック・スキルを身につけた人のことを評価する言葉だが、もうちょっと抽象度を上げて語るならば、ピクニックとは、自由にスタイルを与える行為であり、ピクニカビリティとは、いわば「自由の力量」を表わす尺度のような概念だともいえる。

「拘束状況の緩和」は、私の考えでは、場の持つピクニカビリティを高めることである。ピクニックとキャンプの違いをご存知だろうか。ピクニックは本来社交の場であり、ホストとゲストがない平等な集会である。だから煮炊きのような労働を誰かに課すようなことはしない。これに対してキャンプは軍隊の行動スタイルが基盤になっており、設営や炊事といった労働とその役割分担を通じて仲間意思を共有しようとするものだ。拘束状況のアレンジメントを遊ぶタイプのレジャーである。

私はピクニックが優れてワークショップ的であると思う。逆かもしれない。ワークショップがこなれてファシリテーターを必要としなくなった時、それはピクニックのように自由で楽しい雰囲気になる。どんな人も参加し、それぞれが理解可能なように語り、新たな「発見」を共有する場となるだろう。P132
中西昭一 編「ワークショップ 偶然をデザインする技術」(宣伝会議 2006)


■参考リンク
Blog@Yui はてな出張所
DESIGN IT! w/LOVE ワークショップ―偶然をデザインする技術/中西紹一編著
DESIGN IT! w/LOVE 新しい発想、技術の導入時に問われるプロデュース力



■tabi後記
雨降る中、情報デザインファーラムに参加してきた。情報デザインは、分かりやすく伝えるためではなく、良い体験をつくるためにある。いい言葉です。
posted by アントレ at 23:38| Comment(0) | tabi☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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