2009年10月09日

tabi0310 山本冬彦「週末はギャラリーめぐり」

画廊は無料の美術館
私は今美術館に飾ってある作品が当時、町の画廊に飾られていたと仮定して、自分はそれを買っただろうか?という「買う(所蔵する)」モードで見るようにしています。買うというモードで観ることで現代のギャラリーで見る作品だけでなく、既に美術館に収まった歴史的な作品も選択肢となるわけで、時空を超えた自分だけの空想コレクションを楽しむことができるのです。P143
山本冬彦「週末はギャラリーめぐり」(筑摩書房 2009)


美術館に行くと一番混んでいるのが、入り口の作家の略歴と解説ボードの前でしょうか。そこには、過去の知識や成果をトレースすることによって「◯◯展」を見たという実感を得るためのイニシエーションが交わされているように思ってしまいます。

そこには本当の鑑賞家ではなく、単にキュレーターが決めた通りの観光コースを見学した旅行者を見ているような気分です。評価の定まった作家、人気の作品というのは当然専門家が選んだものであり、その意味で価値のあるものには違いありませんが、それでは単なる追体験に過ぎないのではないでしょうか。

自ら主体的に「鑑賞」したいならば、無名との対峙、そして「見る」という安全地帯における楽しみよりも一歩踏み込めな「買える」スタンスに立てる場所にいくのが望ましいのではないか?そして、著者は、そのためにこそ画廊は開かれていると説明されています。

あなたは「買って手に入れたい」、「盗んででも自分のものにしたい」、そのように思える「モノ」に最近出会えていますか?心をかき立てるような情熱的で創造的な消費行為を行なっていますか?そのようなメッセージを本書の底流には感じます。

それらの「所有」「消費」という欲望が、なぜ湧き上がってくるのか?この作品に執着する私は何者なのか?このような自己省察の機会としても、ギャラリー巡りをすることは有意義なのかもしれません。本書で紹介されている画廊巡りコースや展力というサイトなどを利用して、町へ飛び出してみるのも良いかと思います。

■参考リンク
はるレポート
久恒啓一の「今日も生涯の一日なり」



■tabi後記
本書は長谷川徳七「画商「眼」力」を生活に落とし込んだ本だと思います。天気は快晴。
posted by アントレ at 11:06| Comment(0) | tabi☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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