2010年03月22日

tabi0343 藤井直敬「ソーシャルブレインズ入門」

他者へのリスペクト、ヘリテージへの畏敬
わたしたちの脳は、認知コストバランスと社会的制約の両方からの制約を積極的に受けることで、わざと自由度を残していないのかもしれません。エネルギー効率という点で見れば、制約に従う生き方は脳のリソースをほとんど使わない最適な生き方だからです。社会的な制約は、ともすると人の創造性を奪う大きな問題のように見えますが、視点を変えれば、一人一人のエネルギーコストを下げることで、社会全体のオペレーションコストを下げるという利点があるのかもしれません。P50
藤井直敬「ソーシャルブレインズ入門」(講談社 2010)


認知コストの押しつけあいのしくみが社会的駆け引きの原理であるという著者の見方が面白い。何かを考える、行動規範を変えるというのは、脳に負担がかかる。だから、上司や強者は、部下や弱者に問題解決の認知コストを払わせる。人間にはもともと自分の認知コストをできるだけ少なくすまそうとする圧力があるようだ。

敷衍すると認知コストが低い状態が幸福という見方ができる。

社会ルールは社会全体の認知コストを減らす。その問題についていちいち考えなくてよくなるからだ。「人が人に与える、母子関係に源を持つような無条件な存在肯定」=リスペクトも、相互の信頼によって認知コストを減らす効果を持つと著者は考える。リスペクトを持ってくれている相手は、自分の利益を気にかけてくれているので、考えるべき変数が少なくなるからと。

個人的にはECoGを用いて脳活動を計測するという新しい試みが興味深かった。藤井さんのグループの研究を記述した章は、未来への胎動の確かな手応えに満ちており、今後の展開を期待させるものがある。

■参考リンク
茂木健一郎 他者に対する「リスペクト」
情報考学 Passion For The Future



■tabi後記
久方ぶりに更新。
posted by アントレ at 15:42| Comment(0) | tabi☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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